チャイルドラインは子どもの気持ちに寄り添います
不登校や対人関係、いじめ、引きこもり、虐待、性の悩み・・・。子どもを取り巻く問題は深刻さを増し、その状況はいっそう見えにくくなっています。そこで、取り返しがつかなくなる前に、子どもたちの叫びを受け止めようとするのがチャイルドラインです。
そして、チャイルドライン支援センターは、全国各地にこのチャイルドラインが広がっていくことを応援し、支援していく組織です。チャイルドラインの活動をマスコミなどを通じて社会に知らせ、子どもたちに、こんな電話があるんだよ、こんな居場所があるんだよ、ということを知らせています。そして、各地でチャイルドラインを実施している団体、準備している人達を支援し、研修を行い、必要な情報を収集し発信すること。全国のチャイルドラインのネットワークを作り、さらにチャイルドライン周辺の様々な子どもたちのための活動をするおとなたちのネットワークを形成するお手伝いをしながら、子どもたちの住みやすい場所を作っていくことを目的としています。
18歳までの子どもがかける電話、チャイルドラインは1970年ごろ、北欧地域を中心に自然発生的にはじまりました。その後、ヨーロッパ各地に普及。日本がお手本にしたイギリスでは1986年、BBCの虐待番組から生まれ、現在は365日24時間フリーダイヤルで運営されており、年間総予算は十数億円にものぼります。政府や財団をはじめ、企業、市民がチャイルドラインの運営を支えており、チャイルドラインを支援していることが企業のステイタスともなっています。
チャイルドラインは現在世界150カ国以上で実施され、世界のチャイルドライン連盟となるCHI(世界子どもヘルプライン)において、日本は初代アジアパシフィック地域の理事国をつとめました。世界のチャイルドラインの多くがフリーダイヤル(トールフリー)で行われており、日本のように電話代子ども負担のところはごくわずかです。
日本でのスタートは1998年、東京の世田谷から。翌年、全国にチャイルドラインを広めていくために、NPO法人チャイルドライン支援センターが設立されました。現在、36都道府県65団体が実施しており、6都県で6つの準備団体が立ち上がっています。
チャイルドラインがいちばん大切にするのは、電話をかけてきた子どもの気持ちです。行政機関や警察、児童相談所などが実施している「相談電話」とは異なり、説教やアドバイスを行うのではなく、「子どもにそっと寄り添い、そっと子どもの声を聴く」というのが特色。秘密は守る。名前は言わなくていい。イヤだと思ったら電話を切っていい。子どもたちからチャイルドラインへの電話件数は、2007年度は135,007件、2008年度は180,311件(1日あたり約500件)で、毎年増え続けています。これはとりもなおさず、「子どもたちのまわりに話を聴いてくれるひとがいない」「子どもたちの切実な声を受け止めるシステムが必要」ということを物語ります。だからこそ、チャイルドラインへ寄せられる電話件数は、結果として政府や行政機関が実施する「相談電話」よりもはるかに多くなっています。
こうしたチャイルドラインの取り組みは、国会(衆議院青少年特別委員会への招致)や、文部科学省(「子どもを守り育てるための体制作りのための有識者会議」委員、「いじめ相談ダイヤル」研修講師)、厚生労働省(「児童虐待防止対策協議会」参加)などの国の機関との連携、各都道府県の行政機関との協働などとして、必要性が認識されていることが分かります。最近では、総務省を通じて、通信事業者(主に電話会社)との連携も深めています。
そしていま、わたしたちおとながしなければならないこと。それは、チャイルドラインの整備です。子どもたちがいつでもチャイルドラインを利用できるように、毎日24時間フリーダイヤルにしていくことは、子どもの育つ環境をこわしてきたおとなの責任といっても過言ではありません。
そして、願わくばぜひ、みなさんのまわりにいる子どもたちの話を聴いてください。子どもたちは真剣に自分の話をきいてくれるひとを求めています。自分の気持ちを聴いてもらった子どもは少しだけ自信を取り戻し、自分のちからで歩き出します。