チャイルドライン

リレーインタビューVol.7


アンパンマンを選んだのは子どもたちです
2008年6月13日
漫画家
やなせたかし 様
プロフィール

1919年2月6日、高知県生まれ。

73年、月刊絵本「キンダーおはなし絵本」に「アンパンマン」掲載以降、人気シリーズとなり、 88年から日本テレビ系にてアニメ化。 主な絵本作品に『やさしいライオン』『アンパンマンぼうけんシリーズ』(以上、フレーベル館)、 やなせたかし全詩集『手のひらを太陽に』(北溟社)。 日本漫画家協会理事長。チャイルドライン新キャラクター特別審査委員長。


 
キャラクター審査委員長、ごくろうさまでした。作品をごらんになっていかがですか。

まず、チャイルドラインの認知度が高いからでしょうか、3歳から93歳までと幅広い年齢層で、2800点もの作品が寄せられたことはすばらしいと思います。多くのひとがチャイルドラインについて真剣に考えてくれたのはありがたいですね。また、子どもたちの作品が多いのもうれしいですね。  どの作品もよく考えられていますが、ただマークとしてはよくできているけれど、立体化しづらいものが多いのが残念です。キャラクターはやはり、何にでも使えるということが重要です。マークとしてはもちろん、着ぐるみ、マスコット人形など、3次元の要素が不可欠なのです。  その点、最優秀賞の石川さんの作品は、顔もかわいいし、デザインもよくできています。ひとつの顔のなかに悲しい顔とうれしい顔の配置がうまい。


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チャイルドラインのコンセプトをみごとに図案化し、キャラクターのなかにストーリーがある。もちろん、立体化もできます。今後、いろいろな場面で活躍してくれることでしょう。 そして、発表会があんなに立派で大きな会場でできてよかったですね。そうとわかっていたら、ぼくももっとパフォーマンスをやったのに(笑)。でも、こころに残るいい会でしたね。

 
やなせさんといえば、すぐに思い浮かぶのが子どもたちに大人気のアンパンマンですよね。アンパンマンの生い立ちを教えてください。

ぼくにとってのヒーローは、正義の味方で悪い敵をやっつけるスーパーマンやウルトラマンのようなものではないのです。ぼくは今年90歳(編集部注:とてもお年にはみえません)、戦争を知っている世代です。人間にとっていちばんつらいのは、実はうえること。戦場でひもじい思いをして亡くなっていったひとのなんと多いことでしょう。正直、人間はひもじさにはたえられません。   ぼくにとっての正義は「ひもじいひとを助けること」なのです。だから、アンパンマン。最初のころは、アンパンマンがおなかのすいた子どものところに行って、自分のからだ(アンパン)を食べさせていました。地震のときだって、アンパン1個あったら、とりあえず生きられるでしょう。食べることは生きること、基本中の基本です。食べることからすべてが始まります。


すごい哲学に支えられた物語なんですね。

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ところが、これが評論家や編集者には評判悪くてね(笑)。売れない、とけなされました。でも、日テレのあるプロデューサーに幼稚園の子どもがいて、幼稚園の絵本のなかに1冊だけボロボロになっている絵本がある、買い替えてもまたボロボロになるほど子どもたちに人気だといって、それがアンパンマンでアニメ化を提案してくれました。もちろん、上層部には反対されたけど、彼は3年間もあきらめずに企画書を出しつづけた。その熱意にやっと局側は「やっていいけど視聴率のいちばんとれない時間帯で、局はお金をださないので自分でなんとかしろ」と。

     
それで、ビデオ会社に500万円借りてつくったのです。 「1年つづけばいいね」なんていわれたのですが、翌年には文化庁から優秀番組に選ばれました。そして、番組は20年目を迎えます。だから、ぼくを選んでくれたのは子どもたちなのです。子どもたちには感謝しています。
 
やなせさんの子ども時代のことを聞かせてください。

ぼくは5歳から16歳まで高知で過ごしました。ごくふつうの目立たない子どもでしたよ。もの静かで、どこにいるかわからない子で、いじめられもしました。よく、川で魚をとったり、泳いだりして遊んでいました。  だから、高知にはいまでも年に2回くらいは帰ります。まんが甲子園は高地でやっていて、ぼくは審査委員長だし、コンサートもやるんですよ。それから、高地の第3セクターがやっている「ごめん・なはり線」のキャラクターもつくりました。頼まれたのはごめん駅だけのキャラクターだったけれど、ぼくが20くらいだったら全部の駅につくっちゃおうとね。ごめんえきお君、やすにんぎょちゃん、あなないナスビさん、のいちんどんまん、なはりこちゃん・・・・キャラクターのおかげで、全国からお客さんがきて、3セクではゆいいつ黒字を出しているみたいですよ。
 まあ、ぼくにとっては生まれは東京だけど、高地はふるさとみたいなものです 。
 
チャイルドラインには絵馬の協力もいただいて、ありがとうございます。

20年もたつとアンパンマンを見て育った世代が親になっています。僕自身、こんなにつづくとは思ってもみなかった。アンパンマンをみて、多くの子どもたちがよろこんでくれたらうれしいですし、やっぱり平和で、だれもうえることのない、子どもたちが元気にすごせるような社会にしていかなくてはなりませんね。
 
インタヴューを終えて

高名な漫画家なので、おそるおそるお話したのですが、いやあ、おしゃれで、ダンディ。ユーモアがあって、きさくなやなせさん。でも、底流に流れる確固たるポリシーはさすがです。たのしいひとときをありがとうございました。いつまでもお元気でいらしてください。

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