リレーインタビューVol.2 | チャイルドライン

リレーインタビューVol.2


チャイルドラインに対する思い
2006年10月23日
厚生労働省雇用均等・児童家庭局
虐待防止対策室長(兼)母子家庭等自立支援室長
伊原 和人 様
プロフィール

児童虐待の通告件数が史上最悪の一途をたどるなか、国民の期待を一心に背負ってこの9月に厚生労働省の虐待防止対策室長に就任された伊原和人さん。その足跡からお子さま、さらには、チャイルドラインに対する思いなど、語っていただきました。


まずは伊原さんの足跡からお話いただけますか。

学生のころ、セツルメント活動に携わっていた延長線上で、社会保障、とりわけ福祉の仕事をしたいと厚生省に入りました。入省直後は、ホスピスや臓器移植など医療行政を担当し、その後、兵庫県の伊丹市役所に出向。現場で高齢者福祉や障害者福祉を担当しました。厚生省に戻った後は、介護保険の創設に携わり、その後アメリカに3年行きました。日米の医療品や医療機器の貿易摩擦問題を経験したことから、帰国後は医療保険改革を担当しました。その後、次世代育成支援対策推進法の制定作業などに従事、障害保健福祉部を経て、今回の異動になったのです。

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すごい経歴ですね。まさに日本の福祉を背負っていらっしゃいますが、今回も期待が大きいのでは?

というより、子どもたちの置かれた状況を考えると本当に何とかしないといけないなという思いです。メディアでは、日をおかず、身内の暴力などによって、いたいけな子どもの命が奪われる痛ましい事件を報じています。「なぜこんな事件が」、「どうしてこんな社会になってしまったのか」、児童虐待問題を担当している私ですら、そんな思いにとらわれることもしばしばです。何としても、虐待によって命を落とすようなことのない社会にしたい、そう思います。福祉分野だけで対応できる問題ではないし、また、行政だけで解決できる問題でもありません。たくさんの方々と力を合わせながらやっていきたいと思います。チャイルドラインにも期待しています。
 
はい。とにかくみんながバラバラにやるのではなく、力をあわせるということが大切だと思うので、こちらこそよろしくお願いします。ところで、ご自身のお子さまとの関係はどうですか?

子どもは娘が2人(中2、小2)います。仕事が忙しくてなかなか一緒にいる時間をとれません。仕事が入らない週末に食事をするくらいですね。次世代育成支援の旗を振っている役所でありながら、父として育児参加度については、妻や娘たちからブーイングを受けています。

中2の娘はいま、バスケットボールに熱中していますが、思春期まっただなかで、むずかしい年ごろです。昔は何でも「お父さん聞いて!」だったのですが、今や、親と話すより、友人との会話の方が多くなりましたね。ちょっとさみしいんですが、自立に向けたステップだと自分の心に言いきかせています。子どもへの思いは、チョー強いんです(笑)。

下の娘は、毎日、夕方6時すぎまで近所の友だちと元気いっぱい遊んでいます。公務員宿舎に住んでいますので、近所に同じ年ごろの子どもがたくさんいて、今の時代にしては恵まれていると思います。小2ということもあって、私が家にいると膝の上にのってきて色々と話をしてくれます。週末は一緒に風呂に入って、就寝前に本を読むっていうのが、コミュニケーションでしょうか。
 
ご自身の子ども時代はどうでしたか。ご両親との関係はいかがでしたか。

生まれは四国の高松ですが、高松にいたのは小学2年まで。父がサラリーマンで転勤族だったので、その後仙台(中2まで)、名古屋(中高3年まで)、東京と移り住みました。子ども時代の思い出といえば、なんといっても朝から晩まで、田んぼで野球をやっていたことです。幸い、周囲にはまだ自然がいっぱい残っていて、その時は意識しなかったのですが、いい時代でしたね。

親との関係ということでは、母は専業主婦だったので、毎日、私と弟の世話に明け暮れていました。やはり子ども時代といえば母の思い出が多いですね。父は営業職ということもありましたが、仕事人間で週末を含めてほとんど家にはいませでした。でもいつもいなかっただけに数少ない接触が強く印象に残っています。今でも、その時のことは映像として鮮明に覚えていますが、小学5年のときに映画に連れて行ってくれたことがありました。「八甲田山死の彷徨」という映画です。父の仕事帰りに待ち合わせをして、私は自宅からバスに乗って街に出ました。高倉健出演の映画ですからそれまでに観た子ども映画とは全く違い、大人になった気分でした。映画の後、吉野家の牛丼を2人で食べました。会話の内容はとりとめのないものでしたが、いつもと違って父と2人で、何だか誇らしかったです。
 
すてきなお話ですね。チャイルドラインについての思い出はありますか?

お恥ずかしいことに、私は今回、はじめてチャイルドラインのことを知りました。娘に聞いたら、知っててもう当たり前みたいに言うんですね。いやー、チャイルドラインの子どもたちへの知名度はすごいと思いましたね。

うちの娘は「自分の思いや気持ちは友人に話す」と言っていましたが、話せる友だちがいない子もいるでしょう。友だちに話せないようなこともあるでしょう。そんな子どもたちの思いを受けとめる人や場が必要です。ひたすら、子どもの声に耳を傾け、そして、子どもの心に寄り添い続ける。そんなチャイルドラインの活動は、多忙などを理由に、子どもたちの声を聴くことを忘れている大人達に、今、この社会に求められている子育ての在り方を教えてくれているように思います。
人との関係が希薄になってきた今、チャイルドラインの果たす役割はますます大きくなっていくと思います。厚生労働省としても、私個人としても、ずっと応援していきたいと思います。
 
インタビューを終えて

つたない話にも、食い入るように耳を傾けてくださるその姿勢。 静かななかにも熱いものを感じました。 きっとこれからの国の政策を変えていく方になるのでは、と期待しています。 でも、お忙しいなか、お体お大切に。

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